木曽川水系旅足川源流の水と空気が育んだ、無農薬、有機肥料、天日干しの健康なお米です。

2012_Record

栽培記録

苗作り

耕起前の圃場

3月、まだ圃場が荒涼としている時から作業は始まります。
「苗半作」と言って、田植え時点で出来の良い苗は力強く成長し、収量も多くなります。
播種から40日足らずですが、今年の出来を決める重要な期間です。

3月24日 塩水選

種籾は、中身がつまっているものほど発芽率も高く、健全に生育します。
そこで、中身の詰まっていない、比重の低い種籾を選別するため、塩水に浸して浮いた種籾を取り除きます。

種籾
  • 種籾
    種籾は、専用の圃場で作られたものを流通業者さんから購入しています。
    今年もコシヒカリです。

塩水の比重の目安
  • 塩水の比重
    塩水は、生卵が横になって水上部分が500円玉m程度になるよう調整していきます。
    この時の比重は水に対して1.3程度です。

比重の軽い浮いた籾
  • 選別
    塩水に種籾を入れてかきまぜ、浮いた籾を取り除きます。

3月24日 種子消毒

選別した種籾を水洗いして塩分を落とし、主にばか苗病という稲の病原菌を排除するための処理を行います。
薬剤は使わず、植物から採れた酵素の水溶液に丸一日浸します。

3月25日 浸種

酵素を洗い流したあと、種籾を水に浸し、発芽を促します。

浸種

二週間弱で、ふっくらとしてきて、その先から芽(実際には根です)が出てきます。
その状態で水から取り出し、乾燥させます。


根が出る直前の種籾


4月8日 播種

播種は、種籾一つあたりの面積を大きくするため、苗箱一つにつき100g弱と、通常より少なめにします。

床土敷き
  • 床土
    焼却殺菌した土に必要な栄養素を混ぜ合わせた土を苗箱に入れ、ヘラで均平にします。

播種機で均平に種まき
  • 播種
    専用の道具に種籾を入れ、車輪のような歯車を電車のように苗箱の両端を走らせて播きます。
    手作業で均等に播くのはものすごく時間がかかります。

種まき完了
  • 完成
    ようやく一枚完成。これをあと53枚作ります。

育苗

勢い良く育つ苗

4月9日から40日、田んぼの取水口に並べた苗箱をビニールで覆い、小さなビニールハウスを作ります。
今年も折衷床にしました。
高温多湿の環境ですくすく育ちます。

田植え直前の苗

田植え前、ミニミニハウスを取り外すと元気な苗のお目見えです。


一部芽が出ていません

でも良く見ると一部発芽していません。
恐らく苗床が完全に水平ではなく、最初に水を入れる際に入れすぎたため、低い場所の苗箱が完全に水没して覆土が厚くなったためだと思われます。
こうした苗は田植え機で植えることができませんので、手植えします。


今年の苗は、一部発芽しなかった部分はあるもののまずまずでした。

圃場の準備

小さなハウスで苗が育っている間、圃場では田植えの準備です。

施肥

米糠撒き

肥料は米糠と稲藁です。
去年の水草も緑肥になってくれています。
今年は、土壌改良資材として「オールベストC」を使用しました。

耕起

耕起中の圃場

耕運機

耕運機で米糠の撹拌をかねて田起こしです。
この機械は3年前、クラッチの故障で脇の小川に落ちてしまい、4人がかりで何とか脱出した経歴の持ち主です。
交通事故さながらの衝突音で川底の石に激突しましたが、少々ハンドルが曲がった程度で、何事も無かったように動き出したつわものです。
トラクターがあれば楽なんですが、健気に動いてくれる耕運機を手放す気にはなれません。
もっともトラクターは中古でもとても買える値段じゃないですし・・・。


代掻き

冬の間、田んぼは冬眠するヘビやモグラが掘った穴が至るところに空いています。
田面を均平にするのと同様に、こうした穴をふさぐのも代掻きの大きな目的です。

代掻き前の圃場

今年初めての導水。
思ったほど水漏れはありませんでした。

耕運機立ち往生

快調に水田に入って行った耕運機でしたが、なんと20m進んだ時に立ち往生。
2時間ほどエンジン周りをいじりつつ、始動用のハンドルを力いっぱいまわしましたがまったく動く気配なし。
翌日滑車を用意して二人がかりで動かそうとしましたが、泥状になった田んぼは抵抗が強く、びくともしません。
近隣の方から安く譲っていただいた機械なので、農機具屋さんにお願いしにくいのですが、すがる思いでお願いしたところ、来ていただけるとのこと。
原因は、燃料供給用のパイプに空気が入り、燃料が行き渡らなかったようで、空気抜きをしてえいただいたらあっけなく再稼働してくれました。
農業機械は耕運機、田植え機、稲刈り機、脱穀機とありますが、すべて年代物だからか、毎年必ずといっていいほど故障します。

田植え直前の圃場

そうこうしているうちに無事代掻き終了。

田植え

田植え機

5月23日、ようやく田植えです。
自宅の玄関脇で一年間ゆっくり休んだ田植え機の登場です。


田植え後の圃場

3枚ある圃場ですが、1日で終了。
機械のありがたさが身にしみます。
でも手植えのほうが根が傷まなくて済むんですけどね。

田んぼに植えれば、あとは稲がみずからの力で成長してくれます。
うまく芽が出るんだろうか、機械は無事動くだろうか、といった心配も、田植えが済めば解消。
多少の達成感があります。

田の草

田植えが終わると、通常は畔の草刈りと水管理が主な仕事ですが、この田んぼは水草の宝庫で、特にこなぎというにくたらしい草が繁茂し、稲の栄養を横取りしてしまいます。
稲以外にちょろちょろ生えてきてるのがほとんどこなぎです。
そのため、水草取りが主な仕事になります。


田の草埋め機

まだ草丈が小さいうちはこのような道具を押しながら土に埋め込みますが、頑張って週3日、面積が25aほどですので、全部終わる頃には始めた場所でこなぎが元気に成長してしまい、結局手で抜くことに。
腰をかばいつつ頑張ってはみたものの、全体の1/3しかできませんでした。


6月10日 田植えから2週間

田植え2週間後の圃場

梅雨入り前の圃場です。
田植え機の植え残し部分の手植えも終わり、作土に根付いた頃で、背丈も田植えの頃より大きくなりました。
遠目で見ると緑が濃くなっているのがわかります。

7月13日 田植えから7週間

田植え後7週間の圃場

田植え後7週間の稲

梅雨です。
背丈はまだ小さくて心もとないですが、盛夏の成長のために土の中でしっかり根を伸ばしている頃です。


8月5日 田植えから10週間

田植え後10週間の圃場

田植え後10週間の稲

梅雨が明けて気温が上がると勢い良く伸び出します。
もう遠目から水面は見えません。
土手の草も元気いっぱいです。


8月23日 田植えから3か月

田植え後3カ月の圃場

田植え後3カ月の稲

写真ではわかりにくいですが、穂が出揃いました。
毎年のことですが、一安心です。


9月16日 田植えから110日

田植え後110日の圃場

田植え後110日の稲

今年も無事稔りました。
例年とくらべて天候が悪く、余計に心配してしまいましたが、そんな生産者の気持ちを尻目に着実に実ってくれました。


収穫

ようやく収穫です。
3枚ある田んぼはそれぞれ標高差が2m程度あり、

  • 上の田(約4a)
  • 中の田(約9a)
  • 下の田(約9a)

と呼んでます。
ちなみに単位は以下のように換算します。

  • 1a = 1畝
  • 10a = 1反

はざ用の木材が少ないですので、それぞれのたんぼに1列はざを立て、5畝ずつ作業します。

  • 第一クール
    • 上の田刈り入れとはざかけ
    • 中の田の半分の刈り入れとはざかけ
    • 下の田の半分の刈り入れとはざかけ
  • 第二クール
    • 上の田 第一クールはざかけ分脱穀
    • 中の田 第一クールはざかけ分脱穀 残り半分の刈り入れとはざかけ
    • 下の田 第一クールはざかけ分脱穀 残り半分の刈り入れとはざかけ

本来なら9月中に収穫作業を終える予定だったのですが、稲刈り機(バインダー)の2度にわる故障で翌月までずれ込んでしまいました。
バインダー故障の原因は2度ともキャブレターの詰まりです。
昨年使い終わったあとでキャブレターからガソリンを抜いておくのを忘れるという初歩的ミスが一回目、ガソリンタンクの内側のサビが詰まったのが二回目。
刈り入れが遅れると、たんぱく質やアミロースの合有率が上がり、食味が低下する可能性があるのですが、幸いにして大丈夫でした。

稲刈り

稲刈り

キャブの故障以外は、古い割に結束(稲をジュート紐で自動的に縛る)も順調でした。


脱穀

脱穀

昨年まったく使えなかった脱穀機ですが、今年はすこぶる順調でした。


今年もお疲れ様でした

今年もお疲れ様でした

同じく福地に通って米作りをしているSさんと一緒に記念撮影。
向かって右が、すでに精米を終えた余裕のSさんです。


今年も多少のトラブルはありましたが、無事美味しいお米が収穫できました。
自分で作ったものですので、安心安全であることが何よりです。

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